徳島県小学校教育研究会 書写部会
 

研究主題

文字を大切にし,生きる力を育む書写学習

 

研究計画

平成23年度 研究主題

1 研  究  主  題

文字を大切にし,生きる力を育む書写学習
   

2 研究主題について

 

本研究部会では,長年にわたり,子どもたちが自分で自分の道を切り開き,自己を高め,創造的に生きるための書写教育の在り方を求めてきた。書写学習において,自ら課題をつかみ,課題を追求し,解決していく主体的な学習過程の研究や,意欲化の方法・評価方法等の研究を積み重ねている。

 平成22年度は「文字を大切にし,生きる力をはぐくむ書写学習」という主題のもと「基礎・基本を身に付け,生き生きと取り組む書写学習」という副主題を掲げ,各郡市において研究を進めた。その結果,子どもたちは自ら課題をもって楽しく学ぶことにより,文字を正しく整えて書こうとする意欲が高まってきた。さらに,文字を正しく整えて書くための基礎的・基本的事項を身に付けることで,自信をもって学習に取り組み,学習したことを進んで生活に生かしていこうとする姿が見られるようになってきた。11月には,三好市王地小学校で第18回四国書写教育研究大会(徳島大会)・第33回徳島県小学校書写教育研究大会が開催され,すばらしい研究・実践の発表があった。これらの取り組みについては「書写教育」第46集に収めている。                        
 本主題は平成10年度から受け継がれてきたものであり,主題の見直しをすべきでないかという思いがあった。しかし,生きる力を育むという理念は現行の学習指導要領の中にも引き継がれており,また,文字を大切にするということは,伝統と文化を尊重することでもある。「文字を大切にし,生きる力をはぐくむ書写学習」という主題のもと研究を進めてきた本県の方向性は,これからの書写教育と基軸を同じくするものであると確信した。
 平成23年度は,主題を「文字を大切にし,生きる力を育む書写学習」とする。副主題については,各郡市で設定することとし,児童の生きる力を育てるために何に重点をおくかを考え,それぞれの視点から研究を深めていきたい。そして,これらの研究の結果を残すことによって,成果を広め,発展させるようにしたい。さらに,教師自らが研修を深めることにより,自分自身を高める姿勢をもちたい。
 
(1)主題のとらえ方について  

文字を大切にするとは

 学習指導要領において,書写に関する事項が従来の〔言語事項〕から〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕に位置づけられた。文字を大切にするということが伝統や文化を尊重することであり,書写が日常生活に不可欠で言語活動の充実のために存在するものと明示された。また,単に文字自体を大切にするだけでなく,文字を手で書くということが日本の文化としても極めて大切なものであるという考え方を社会に普及していくことが必要である。
   手で書いた文字には,書き手の個性が現れる。手で書くことは,何をどう伝えたいのかという自己表現の場であり,相手を意識したコミュニケーションの場である。この場合にも,文字を大切にするいう考え方が基盤となり,文字を大切にすることを通して人や物を大切にするということにつながると思われる。                                      

生きる力を育むとは

  書写において「生きる力を育む」とは,文字を大切にする活動の中で,自ら課題をもち,自ら学び自ら考える態度を身に付けることであると考える。また,課題解決の過程において,子どもたちが考えを出し合い,よりよい見方や考え方を認め解決していくことが基礎・基本を身に付け,生きる力を育むことになると思われる。このように,課題に対して主体的に取り組むことにより,書写で学んだことを他の教科や日常生活で生かしたり,生活や学習で見つけた課題を書写学習の中で見つめ直したりすることができるであろう。これも書写における「生きる力を育む」ことと考える。                             

(2)副主題を設定するにあたって

 副主題を考える上で参考となるのは,3に示した研究内容である。これらの内容を全体的に捉えることや,部分的に絞って研究を重点化することが考えられる。子どもの実態や地域性等を考慮しながら,副主題を設定したい。
   また,生きる力を育むために,基礎・基本の定着は欠かせない要素であると考える。書写において基礎・基本とは何であろうか。学習指導要領においては,書写に関する事項は[伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項](2)で次のように示されている。
                                                                                             
 第1学年及び第2学年               第3学年及び第4学年                     第5学年及び第6学年
ア 姿勢や筆記具の持ち方を正しくし,      ア 文字の組み立て方を理解し,形を整       ア 用紙全体との関係に注意し,文字の大きさや
   文字の形に注意しながら,丁寧に書く      えて書くこと。                             配列などを決めるとともに,書く速さを意識し
   こと。                                 イ 漢字や仮名の大きさ,配列に注意し           て書くこと。                   
  イ 点画の長短や方向,接し方や交わり      て書くこと。                              イ 目的に応じて使用する筆記具を選び,その特
   方などに注意して,筆順に従って文字    ウ 点画の種類を理解するとともに,毛                    徴を生かして書くこと。 
   を正しく書くこと。                                          筆を使用して筆圧などに注意して書く              ウ 毛筆を使用して,穂先の動きと点画のつなが
                                                                        こと。                                                              りを意識して書くこと。        


  本部会では,こうした技能面と用具・用材の使い方,字体や書式等の知識・理解,さらに,文字言語を大切にしたり,正しく整えて書こうとしたりする関心・意欲・態度,これらをすべて含めたものを基礎・基本と考えている。

3 研 究 内 容  

  本年度は,副主題をもとに,次の内容の中で書写学習の在り方をさらに追求していく。これまでにも日常化についての研究を重ねてきたが,学習指導要領の中に示 されている文字の配列・書く速さを意識するということから考えると,点画や文字から文字群に関する事項へ,さらに目的に応じた書き方に関する事項へと系統的に指導していくことが重要となる。手紙を書いたり記録をとったりする等,実際の日常生活や学習活動に役立つような日常化についての研究を一層進めていく必要があると思われる。
  子どもたちが考えたり書いたりする喜びや楽しさを味わうことで,書写学習が主体的な活動になるようにしたい。また,書写学習での生き生きとした取り組みが,日 常生活や他の学習の中でも相手や場面を意識しながら書くことを通して,心豊かな活動につながるようにしていきたい。
  
  (1) 主体的な学習の進め方
  (2) 学び合い
  (3) 個に応じた支援
  (4) 日常化 
  (5) 文字に関する知識・理解と      興味・関心
 *(1)~(5)は,内容を重要な順に並べているわけではありません。

(1)主体的な学習の進め方

 次のような学習過程を基本として,子どもが自ら学び考えながら取り組む学習活動を弾力的に展開する。                

      つかむ(課題把握)・・・  基準(文字を書く時の原理・原則)を理解し,自分の課題をつかむ。  
      高める(課題追求)・・・ 学び合いを通して,創意工夫をしながら自分の課題を解決するように努める。   
      確かめる(評価)・・・・・ 課題にそった自己評価,相互評価をする。                     
      生かす(発展)・・・・・・  他の学習や日常生活に生かす。                                  
  
 ① つ か む(課 題 把 握)
      ア 子ども一人一人がめあてをもって学習に取り組めるようにする。
      イ 興味や関心がわく導入になるよう,教材やその提示の方法を工夫する。
      ウ 基準を明確にし,機器の活用等の工夫により,書く時間を確保する。
      エ 日常の書く活動の中から課題を見つけるように工夫する。

 ② 高 め る(課 題 追 求)
      ア 子どもの課題や実態に応じた支援をする。
          ・課題別学習 ・分解文字 ・水書用紙 ・練習用紙 など
      イ 学習目的や学習効果に応じた教材教具や教育機器を活用する。
          ・分解文字 ・水書板 ・教材提示装置 ・VTR ・パソコン など

 ③ 確 か め る(評 価)
      ア 評価規準を明確にする。                  
      イ 学習の成果だけでなく,学習過程を大切にし,個に応じた支援を工夫することによって,次への意欲がさらに高まるように配慮する。
      ウ 自分の課題にそった自己評価ができるような学習カードや評価カードの工夫をする。
      エ 友達のよいところを認め,励まし合う相互評価ができるようにする。

 ④ 生 か す(発 展)
      ア 書写の時間に学習したことが,他の学習や日常生活の中で生かされるようにする。   
      イ 日常生活の中で,文字を書く喜びを見つけることができるようにする。

(2)学 び 合 い                   
   ① 学習形態の工夫
      ア ペア学習やグループ学習を取り入れる。            
      イ 個に応じた学習課題や習熟度を考慮に入れた学び合いのグループ作りをする。
   ② 子ども同士,子どもと教師の学び合い
      ア 個を認め,励ます言葉かけなどができるようにする。
      イ 教師が,子どもと共に学びながら自己を高めていく。

(3)個に応じた支援
   ① T・Tの役割分担の工夫
   ② 支援の必要な子どもに対する指導の工夫
   ③ 左利きの子どもへの指導の工夫

(4)日 常 化
   ① 他教科や道徳,総合的な学習の時間と書写学習とのかかわりについての研究
     ② 硬筆と毛筆の関連を考えた単元や教材の選び方
   ③ 目的や場面に応じて,必要な筆記具を選んだり,書く速さを意識したりして書く力の育成を図る指導計画
     ④ 日常的に使われる縦書きや横書きに対応した指導計画

(5)文字に関する知識・理解と興味・関心  
   ① 用具・用材の知識,扱い方
   ② 漢字・仮名等に関する知識・理解
   ③ 日本の文字文化に対する興味・関心