徳島県小学校教育研究会 養護部会
 

研究主題

                
    平成29年度  養護部会研究計画

1 研 究 主 題

    未来を拓く心と体を育む健康教育
                                      
2 研究主題設定の理由

 これまで本部会では,WHOの提唱するヘルスプロモーションの理念のもと,いかに社会が変化しようと,子ども自らが主体的に判断し,生涯にわたり健康的なライフスタイルを確立することや,身の回りの環境を健康的に改善していく資質や能力の育成を目指して研究実践を重ねてきた。これにより,それぞれの学校において,健康教育の推進に一定の成果を得ることができた。
  しかし,徳島県における肥満傾向児の出現率は依然として高く,糖尿病を含む生活習慣病はまだまだ深刻な健康課題である。また,SNSによる交友関係のトラブルや犯罪被害のリスク等,子どもの心身に関わる様々な課題が続出している。更に,昨今の気候変動等による環境の変化や自然災害,感染症の発生等への対応にはグローバルな視点が求められる。このような状況にある今こそ,それらを乗り越えていくためのしなやかな知性と豊かな創造性,たくましい行動力を身に付けた子どもの育成を目指していかなければならない。
 そして,子どもたちが,未来へ向かって自立的な健康づくりができるような資質や能力を主体的・協働的な学びの中で身に付けていくことで,今現在の健康課題の解決にとどまることなく,将来直面する健康課題に柔軟に対応していくことができ,生涯にわたる生活の質の向上につながると考える。
 今後はより一層,社会の一員として広い視野をもち,心身ともにたくましく,このグローバル社会を生き抜いていくことができるようになってほしいと強く願っている。そこで,今年度も「未来を拓く心と体を育む健康教育」を研究主題として設定し,研究を進めることとした。

                              
3 研究主題について
(1)「未来を拓く心と体」について
  子どもの心身の健康を追求してきた本部会において,「心と体」とは,健康な心身をもつ子どもそのもの
 であると考える。学習指導要領においても,「確かな学力」,「豊かな心」,「健やかな体」の調和を重視 
 する「生きる力」を育むことが重要であり,中でも「豊かな心」と「健やかな体」は,個別にはぐくまれる
 ものではなく,互いに深く影響し合うものであるとされている。
  今後ますます複雑化・多様化する健康課題に対して,習得した知識や技能を健康な生活を送るための基礎
 として活用できるようにし,自らの健康を適切に管理・改善していく力や,健康の保持増進に向かう情意や
 態度を育てる。そして,自ら獲得した健康を資源にして夢や希望の実現を目指し,個人や社会の未来を切り
 拓いていくことができるようにする。
 

(2)「はぐくむ」について
  子どもは,他者との関わりの中で育ち,互いにかけがえのない存在であることを実感しながら,自他の生
 命の大切さを学んでいく。かけがえのない生命は,多くの人に支えられ存在することを理解し,未来の自分 
 につながっていることに気付くことが重要である。
  健康教育では,このように自他の生命や存在を大切にしようとする精神の涵養を図り,子どもたちにとっ
 て心身ともに安全・安心な環境づくりに取り組んでいく。そして家庭や地域社会との連携を密にして自尊感
 情を育てながら,ゆっくり,じっくり時間をかけ,手をかけて一人一人の子どもの自立を促していくことを
 「はぐくむ」と捉える。

4 研究の視点

  研究主題にせまるために,次の3点を研究内容として取組を進める。
   
(1)生活や生き方に結び付くような指導内容・指導方法の研究
  子どもの自ら学ぼうとする意欲を高め,健康の価値を見出し,の生活やこれからの生き方に結び付けるこ
 とができるような指導内容や指導方法について研究する。
  また,子どもが主体的に他者と協働して学び合い,自分と違う考えや価値観に触れることで新たな視点や
 発想に基づく価値を創造し,よりよい課題解決の方法を探求することができるよう,アクティブ・ラーニン 
 グの視点を踏まえた指導方法についても研究する。


(2)学びの輪を広げていく場の設定
  学んだことを個人の学びにとどめることなく,学校内はもとより,家庭や地域社会の中で,深めたり広め
 たり未来につなげたりすることができる場の設定を行う。そして周囲の人に働きかけ,協働してより健康な
 社会をつくることができる資質・能力・態度を育成する。

   
(3)学びの継続につながるPDCAサイクルの活用 
  学校の実情に応じて適切な評価項目や評価規準を設定し,具体的で多様な方法を用いて評価を工夫・改善
 する。実践の中で,常にPDCAサイクルを生かした振り返りを大切にして,新たに生じた課題にも継続
 的・組織的な改善を図り,子どもの学びをスパイラルに高めていくようにする。    


5 研究の内容と方法
(1)組織的・計画的な健康教育の推進
  学校の教育活動全体を通して,健康教育目標が十分達成できるように、保健教育、保健管理のなお一層の 
 充実・徹底を図る。子ども一人一人の心や体の健康実態を的確に把握し,問題点を分析する。そして,その 
 結果を踏まえ,自校の課題に対応するために,すべての教職員がそれぞれの役割を明確にし,互いの役割を
 共通認識する。そのために,学校保健計画、保健室経営計画等を作成し,組織的にかつ計画的・継続的に学
 校保健活動を推進していく。

(2)指導方法及び教材の工夫・改善
  各学年における教科指導及び特別活動等における健康教育では,自校の課題解決につながるように作成さ
 れた年間指導計画に沿って,PDCAサイクルを活用し指導を充実させる。
  保健指導においては,学校行事や集会活動等を含めた教育活動全体を通して,日常的な機会や保健便り等
 を活用し,計画性・系統性のある指導を行う。子どもが,自ら意欲的に取り組み,思考力や判断力を身に付 
 け,生活と結び付けて行動化が図れるように,指導方法や教材等を工夫する。
  また,養護教諭は専門性を活かし,積極的にT・Tによる指導に取り組むようにする。その際,学級担任
 や教科担任とともに指導内容を検討し,アクティブ・ラーニングの3つの視点「主体的な学び」「対話的な
 学び」「深い学び」に基づく課題解決的な学習を目指し,子どもの実態や自校の課題に合わせて,研究主題
 にせまる指導方法や教材の研究を深める。
  それと同時に,日常の健康観察や健康診断の結果,保健調査,保健室の利用状況等から,心身の健康上問
 題があると認められる子どもには,個別の保健指導を行う。
  更に,体育科保健領域における健康教育を推進するため,養護教諭が教諭の兼職発令を受け,保健学習を
 担当する機会を積極的にもつようにする。そして,今後も指導力の向上を図るため,授業実践や学校内での
 研究授業に取り組む。
  児童委員会活動においては,子どもが自発的・自治的に活動し,学校全体の健康教育の取組へと発展して
 いくように支援する。

(3)「チームとしての学校」における養護教諭の役割 
  
養護教諭は,保健室において子どもの心身の不調の背景を分析し,健康相談を充実させるとともに,いじ
 めや虐待,生徒指導上の問題の早期発見・早期対応に努める。その際には,関係教職員や専門家,専門機関
 との連携の中心的役割を担い,適切な指導・支援が行えるようにする。
  また,危機発生時の心のケア体制においても,医療機関やその他の関係機関との連携の中心を担い,特別
 な支援を必要とする子どもへの支援においては,健康教育推進のコーディネーターとなり,専門性を生かし
 て協働する。
  更に,学校保健委員会を活性化するなど,学校・家庭・地域との連携・協働によって,ともに子どもの健
 やかな発達を支えていく体制づくりに貢献する。
                                     
6 研究の進め方 
  (1) 各郡市の実態に応じ,個人または共同で研究を進める。
  (2)   小学校養護教諭研修会等で研究を深め,研究主題の解明を図る。
  (3)   研究したものを研究集録(あしあと)にまとめる。

〈参考文献〉
 
 1) 中央教育審議会答申「子どもの心身の健康を守り,安全・安心を確保するために学校全体としての取
         組を進めるための方策について」(H20.1)
    2)  文部科学省「生きる力」を育む小学校保健教育の引き
 3)  文部科学省 小学校学習指導要領解説 総則編(H25.3)
 4)  財団法人日本学校保健会 みんなで進める学校での健康つくり ヘルスプロモーションの考え方を生
         かして(H21.4)
 5) 財団法人日本学校保健会 学校保健の課題とその対応-養護教諭の職務等に関する調
   査結果から-(H24.3)
 6) 文部科学省 第2期教育振興基本計画(H25.6)
    7)中央教育審議会答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」(H27.12)
    8)文部科学省 教育課程企画特別部会 論点整理(H27.8)